旅人さんA型の事業所に通ってるけど、フリーランスや起業、副業って…そもそも制度的に無理なんじゃないの?年金が止まったら怖いし、何から手をつければいいかも分からない・・・



「無理」と決まっているわけじゃないんです。フリーランスも起業も、その入口は「個人事業主」。いきなり全部やめて独立じゃなく、通いながら“小さく始める”道がありますよ。



えっ、通いながらでもいいの?でも年金とか利用料とか、お金の影響がやっぱり不安だよ・・・
どうも、発達障害(ADHD・ASD)があって、A型事業所に通いながら、自分の小さな事業を育てようとしている向井です。
「障がい者の就労継続支援事業所に通いながらフリーランスや起業なんて無理なの?」「もし通所しながら個人事業主になったらクビになるの?」「障害年金は止まらない?」
障がい者の就職の話はよく聞きますが、個人事業主・フリーランスになったり起業したりする情報って、あまり聞きませんね。収入が少ない!けど一般就労や障害者雇用も難しいという気持ちはありませんか?
そこで、今回はこのテーマを厚生労働省・日本年金機構・国税庁といった公的機関の情報をもとに一つずつ調べて整理しました。なお、フリーランスや起業も、税務上の入口はまず「個人事業主」になることが多いので、この記事では個人事業主になる流れを中心に解説します。
正直に先に言っておくと、僕はまだ個人事業で大きく稼げてはいません。それでも「知っておいてよかった」と思える制度とお金の話を、同じ場所に立つ仲間としてお届けします。
- A型・B型に通いながら、収入を少しでも増やしたい人
- 個人事業主・副業に興味はあるが「年金が止まる」「利用料が上がる」のが怖い人
- 開業届や確定申告など、何から手をつければいいか分からない人
- いきなり独立ではなく、通所しながら“小さく”試してみたい人
そもそもA型とB型ってどう違う?立場の違いが副業のカギになる
就労継続支援には「A型」と「B型」があります。この2つの違いが、後で出てくる「副業していいの?」という話に効いてくるので、最初に押さえておきましょう。
A型は「雇用契約あり」、B型は「雇用契約なし」
就労継続支援A型は、事業所と雇用契約を結んで働く形です。労働基準法が適用され、最低賃金以上の給与が支払われます。立場としては「労働者」です。
一方の就労継続支援B型は、雇用契約を結びません。作業に応じた「工賃」を受け取る形で、立場は「福祉サービスの利用者」。自分のペースで通いやすいのが特徴です。
もらえる金額の目安はどのくらい?
厚生労働省のデータ(令和5年度)では、平均でA型が月額 約86,752円、B型が月額 約23,053円です。
A型の数字は、令和6年度の報酬改定で計算方法が変わったため大きく増えています。過去の年度の数字と単純に比べられない点に注意してください。金額はあくまで全国平均で、事業所や地域によって差があります。
ここで僕の話を少しだけ。僕が通っているのはA型で、カフェでの接客に加えてお店のSNS運用や、パソコンでのバックオフィスの受託作業などをしています。
A型は雇用契約があるぶん、こうした「仕事のスキル」を実地で積めるのが大きいと感じています。SNS運用やパソコン作業は、そのまま個人事業に転用できるスキルでもあるんですよね。



「事業所=ただ通う場所」じゃなくて、「個人事業の練習場」だと思うと、毎日の見え方が変わりますよ。
A型・B型に通いながらフリーランス・起業は無理?個人事業主になれる?
ここがいちばん知りたいところですよね。結論から言うと、「絶対にダメ」と決まっているわけではありません。ただし条件があり、可否は自治体・事業所によって変わります。
令和6年度から「働きながら通う」が例外的にOKに
実を言うと、個人事業主やフリーランスになること、起業することも、制度上は一般就労に含まれるものとして扱われます。
以前は、一般就労をすると就労継続支援の支給決定が下りませんでした。でも令和6年度の報酬改定で、例外的に「一般就労と就労継続支援の併用」が次の3つのパターンで認められるようになりました。
- ①労働時間延長支援型:週10時間以上20時間未満から、段階的に勤務時間を増やしていく人向け(原則3〜6か月、最長1年)
- ②復職支援型:企業や医療機関の復職支援では難しいケース。主治医が必要と認める場合(最長2年)
- ③就労継続支援短時間型:週10時間未満の非常勤労働が対象。フリーランスや個人事業主も対象で、利用期間の定めはありません
注目してほしいのが③です。「週10時間未満」で、しかもフリーランス・個人事業主も対象とされています。つまり、通いながら小さく個人事業を試す道が、制度のうえでもちゃんと用意されているということです。
ただし、いずれのパターンでも企業(事業所)の同意書や、市町村が「必要」と認めること、関係機関との調整資料などが必要になるケースがあります。「自由に何でもOK」ではなく、「手続きを踏めば道がある」というイメージです。
A型事業所の場合:就業規則の副業ルールに注意
A型は雇用契約を結ぶので、勤務先(=事業所)の就業規則に副業の規定があれば、その影響を受けることがあります。一般企業で副業するときも規定によって副業が禁止されたり制限を受けるケースもあるので、確認をしましょう。
B型事業所の場合:比較的柔軟で、在宅と相性がいい
B型は雇用契約がないぶん、A型より柔軟に個人事業と両立しやすいです。特に在宅でできる小さな仕事との相性は良いようです。ただし、利用条件によっては副業が禁止されたり制限を受けることもあるので、B型事業所のルール確認をチェックしましょう。



A型・B型事業所にこれから通うと言う人は面接や体験の際に副業のルールについて聞いてみるといいでしょう。
いちばん大事なのは「黙って始めないこと」と「仕事と副業のバランスを取ること」
僕は、副業や個人事業について事業所に積極的に話をしてきました。返ってくる反応は人によってさまざまで、「よく分からないな」と戸惑う人もいれば、親身に話を聞いてアドバイスをくれる人もいました。
中には「受給者証の手続き(サービス等利用計画への反映)はちゃんと済ませた?」と確認してくれる人もいました。これは大事なポイントです。サービス等利用計画は、あなた自身の就労や収入の状況をもとに作られるものだからです。
黙ってこっそり始めるのはおすすめしません。就労や収入の状況が変わったら、事業所の人や相談支援事業所、自治体などに共有・相談するのが原則です。状況を正しく伝えないままだと、給付の返還などにつながる可能性もあります。まずは「こんなことを考えています」と相談するところから始めましょう。
また、個人事業主の活動にのめり込みすぎて体調を崩してしまい、A型・B型事業所への通所を休むと本末転倒です。
もちろん、通所で頑張りすぎて疲れて副業ができないというのも問題です。
仕事と副業のバランスを守り、無理のない範囲で活動をしましょう。



特に睡眠と食事と運動、通院と服薬をしてたまに休むのが大事です。
お金の不安を分解する①:障害年金は止まりますか?
「働いたら障害年金が止まるんじゃ…」という不安、とてもよく分かります。でも、ここは誤解されがちなところです。
大前提として、障害年金を受け取りながら働くこと自体は、法律上まったく問題ありません。個人事業主・フリーランスでも障害年金を受給している人は普通にいます。
所得制限があるのは「20歳前傷病の障害基礎年金」だけ
障害基礎年金は、原則として所得制限がありません。例外は「20歳前の傷病による障害基礎年金」のケースだけで、ここには2段階の所得制限があります。
令和7年10月1日改定の最新の基準では、前年所得が3,761,000円を超えると年金額の2分の1が、4,794,000円を超えると全額が支給停止になります(扶養親族がいる場合は基準額に加算あり。支給制限の対象期間は10月分〜翌年9月分)。
逆に言えば、ここに当てはまらない多くの人にとって、副業で少し収入が増えたくらいで年金が止まることは基本的にありません。障害厚生年金には、このような所得制限はありません。
障害年金は非課税。確定申告には含めない
障害年金は非課税所得です。所得税・住民税の対象外なので、確定申告のときに収入として含める必要はありません。ここも覚えておくと安心です。
「働くと年金が即減る」は、多くの場合は誤解。減額が問題になるのは主に20歳前傷病の障害基礎年金のケースです。自分がどの年金に当てはまるかは、初診日にどの制度に入っていたか(国民年金か厚生年金か)で決まります。
個人事業主やフリーランスで働けるから障害年金はもらえない?
障害年金を受給しながらフリーランスや個人事業主として働くことはできます。ただし、「フリーランスや個人事業主で働けるなら障害年金はもらえないじゃない?」と思う人もいるでしょう。
障害年金は病気や障害によって仕事や生活にどれだけ支障があるのかを重視するので、フリーランスや個人事業主だから障害年金をもらうのが難しいわけじゃありません。
例えば発達障害の場合、フリーランスや個人事業主であるかどうかや年収よりも「集中力のでこぼこが激しくて日中の活動に支障が出る」「人間関係がうまくいかなくて孤立気味で抑鬱状態になっている」など、生活や仕事などでどれくらい深刻に困っているのかというところが重視されます。
なので、個人事業主やフリーランスでも、病気や障害の状態によっては障害年金をもらえるので申請をあきらめないでほしいです。
お金の不安を分解する②:福祉サービスの利用料は上がりますか?
もう一つの不安が「収入が増えたら、事業所の利用料が上がるのでは?」というもの。これも仕組みを知っておくと落ち着いて準備できます。
障害福祉サービスの自己負担には、所得に応じた4区分の「負担上限月額」があります。ひと月にどれだけサービスを使っても、この上限以上は負担しません。
| 区分 | 負担上限月額 | 所得の目安 |
|---|---|---|
| 生活保護 | 0円 | 生活保護受給世帯 |
| 低所得 | 0円 | 市町村民税非課税世帯 |
| 一般1 | 9,300円 | 市町村民税課税世帯(概ね収入670万円以下) |
| 一般2 | 37,200円 | 上記以外 |
ポイントは、この所得区分が毎年6〜7月ごろに、前年の所得をもとに見直されるということ。個人事業の収入が増えて課税世帯になると、翌年度の利用者負担が上がる可能性があります(0円→9,300円など)。
収入が増えるのは良いこと。でも「翌年度の負担区分に効いてくる」と知っておくだけで、心の準備ができます。「世帯」の範囲は障害者本人+配偶者で見るのが原則(18歳以上の場合)ですが、詳細は自治体に確認してください。
いきなり稼ごうとしなくていい。まず“目線”を変える
ここまで制度とお金の話をしてきましたが、最後に、いちばん伝えたいことを正直に書きます。
僕自身、今はまだ個人事業で大きく稼げてはいません。「成功した人の話」ではないんです。だからこそ、これから始めるあなたと同じ場所から書ける、とも思っています。
仕事を“もらう人”から、“作る人”の目線へ
まだ稼げていない僕でも、はっきり変わったことがあります。それは仕事を「もらう人」から「作る人」へと目線が変わったことです。
個人事業主や社長の目線で考えると、「どうすれば相手の困りごとを解決して、相手の利益を増やせるか」を自然と考えるようになります。すると、今のA型事業所でも、ただ仕事をもらって作業をこなすだけでなく、「こうしたら業務の改善につながるのでよければこの仕事をしましょうか」と自分から提案できるようになります。
この自発的に動く感覚こそ、独立する前の最高の練習だと感じています。
いちばんの分かれ道は、「動いたか・動かなかったか」だけ
制度もお金も、知っておくと安心材料になります。でも正直に言うと、ここまで読んで「なるほど」で終わってしまうと、明日は今日と何も変わらないんですよね。僕自身、長いあいだ「準備が整ったら」「もう少し自信がついたら」と先延ばしにしてきました。けれど、いくら調べても不安がゼロになることはなくて、そのあいだは結局、一歩も前に進んでいなかったんです。
変わったのは、完璧じゃないまま、小さく動いてみたときでした。誰かの困りごとを一つ聞いてみる。ブログを1本書いてみる。支援員さんに「こんなことを考えています」と話してみる——どれも、お金や資格がなくても今日できることです。
動いてみて初めて「思ったより怖くなかった」「ここが足りなかった」と分かります。たとえうまくいかなくても、小さく試したぶん傷は浅く、その経験そのものが次の材料になります。
もちろん、無理は禁物です。体調や障害と相談しながら、1日5分でも、1週間に一つでもいい。大きく踏み出せない日があって当然です。動けなかった自分を責める必要はありません。
動ける日に、動ける範囲で。「昨日より半歩」が積み重なれば、半年後にはちゃんと違う景色が見えています。
大きく稼ぐ前に、まず「誰かの困りごとを一つ解決してみる」。完璧な準備を待つより、不格好でもいいから今日の小さな一歩。その一歩が、半年後のあなたを助けてくれます。



「いつかやる」は、たいてい来ないんですよね。だからこそ、今日できる一番小さな一歩を一つだけ。体調と相談しながら、無理のない範囲で動いてみましょう。
軌道に乗ったら届け出る:開業届と青色申告
「いきなり開業届」ではなく、まず小さく試して、軌道に乗ってきたら届け出るでも大丈夫です。せっかくなので手続きの基本も押さえておきましょう。
- 開業届:事業開始から1か月以内に税務署へ提出。窓口・郵送・e-Tax(マイナンバーカード)で可。出し遅れても罰則はありません。
- 青色申告承認申請書:その年の3月15日まで(1月16日以降に開業した場合は開業から2か月以内)に提出。最大55万円/65万円の特別控除などのメリットがあります。
開業時に開業届と青色申告承認申請書を一緒に出しておくと、期限を気にしなくて済むので安心です。
迷ったときの相談先
一人で抱え込まないことも大切です。まずはお金のかからない公的な窓口から当たってみてください。相談支援専門員、事業所の就労支援員、ハローワーク、自治体の起業相談窓口など、調べると意外とたくさん出てきます。
もう少し踏み込みたいなら、講演会や交流会、コミュニティ・オンラインサロンで実際に起業家や個人事業主・フリーランスに出会ったり、セミナーで自分のやりたいビジネスを学んだりする方法もあります。同じ立場の仲間ができると、それだけで心強いものです。
ただし、ここは慎重に。世の中には法外な金額の副業スクールや情報商材もあります。払ったのに稼げず多額の借金だけが残った/いつのまにか闇バイトという形で犯罪に巻き込まれた/負荷の高い仕事を安い報酬でやらされた——そんな罠も、残念ながら存在します。見分け方はシンプルです。①最初に高額を求める ②「絶対」「誰でも稼げる」と言い切る ③契約を急かす——どれか一つでも当てはまったら、いったん立ち止まって、上の公的窓口や信頼できる人に相談してください。



僕がいちばんおすすめなのは、お金をかけずに小さく始めること。もし「最初の一歩を、誰かと一緒に踏み出したい」と思ったら、僕に連絡をください。無理のない範囲でお手伝いしています。高い教材も大きな約束もいりません。一緒に、半歩からで大丈夫です。
よくある質問
Q. 通いながら個人事業主になったら、事業所はやめないといけませんか?
必ずしもやめる必要はありません。令和6年度から、一定の条件のもとで一般就労や個人事業と就労継続支援を併用できるパターンが用意されました。ただし可否は自治体・事業所によって異なるので、事前に相談してください。
Q. 個人事業の収入が増えたら障害年金は止まりますか?
多くの場合、止まりません。所得制限があるのは「20歳前傷病の障害基礎年金」のケースで、前年所得が一定額を超えたときだけです。自分がどの年金に当てはまるかは、年金事務所で確認できます。
Q. 確定申告では障害年金も収入として申告するの?
いいえ。障害年金は非課税所得なので、確定申告に含めません。申告するのは事業で得た所得などです。
Q. いくら稼いだら確定申告が必要ですか?
事業所得が一定額を超えると必要になります。金額の基準や控除はその年・その人の状況で変わるので、税務署や確定申告コーナー、税理士に確認するのが確実です。
Q. 開業届を出すと、何かデメリットはありますか?
開業届そのものに大きなデメリットはありません。ただし、収入が増えれば税や翌年度の利用者負担区分に影響することがあります。心配なときは、開業届を出す前に相談支援専門員や税務署に相談しておくと安心です。
まとめ:通いながら、少しずつでいい
正直に言うと、この記事を書いている僕も、個人事業ではまだ稼げていません。
でも、「もらう仕事」から「自分で作る仕事」へ目線が変わっただけで、毎日の見え方が変わりました。事業所に通う時間も、独立への練習だと思えるようになったんです。
“通いながら、少しずつ”でいい。まずは事業所の支援員さんや相談支援専門員に「こんなことを考えているんです」と話すところから始めてみてください。あなたの小さな一歩を、このノートは応援しています。
本記事は2026年6月時点の一般的な情報をまとめたものです。就労継続支援の副業可否、障害年金の所得制限、福祉サービスの利用者負担、税の取り扱いは、お住まいの自治体・通っている事業所・あなた自身の状況によって異なります。実際に始める前に、必ず相談支援専門員・自治体の障害福祉窓口・年金事務所・税務署など、それぞれの専門の窓口でご確認ください。
参考にした情報(公的機関)

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